「ぶらナポ」下関マグロ著
おじさん世代のソウルフードのひとつ、ナポリタンが密かなブームを呼んでいるという。
本書は、ナポリタンを食べて半世紀という散歩ライターの著者が、「極私的ランキング」を紹介する食べ歩きリポート。
氏がこれまでにいちばん多く食べたナポリタンが、新橋駅から徒歩3分の昔ながらの洋食店「はと屋」の「ハンバーグナポリタンセット」。
セットのナポリタンは、ハンバーグのサイドメニューではなく、しっかりと一人前。さらにライスとキャベツの千切りがつく。ナポリタンが茶色いのは、デミグラスソースが入っているからで、ゆえにハンバーグとの相性が抜群なのだとか。
長らくこの店のナポリタンが氏のナンバーワンだったのだが、最近、見つけた自宅の近所、台東区入谷の喫茶店「SUN」の「なぽりたん」にその座を明け渡したという。
老舗喫茶店の2代目が作る「なぽりたん」は、これまで食べてきたどの喫茶店とも違う、懐かしくて新しい味がするそうだ。
そして現在、はと屋は3位で2位は浅草駅近くのロメスパ系「カルボ」のそれだという。ロメスパとは「路傍の麺」、つまり立ち食いそば感覚で入れる気軽なスパゲティ屋さんということらしい。
ランクインした23店の他にも、定食屋の「ナポリタンうどん」や町中華のナポリタンなど、92店をめぐる。
ナポリタンは、炒めれば炒めるほどおいしいといわれ、カルボはその究極系だが、一方でSUNの店主は焦がしてはダメだという。そのSUNの店主から聞き出した、ゆで上げた麺を扇風機で冷やすところから始まる「なぽりたん」のレシピ通りに実際に作ってみたり、コンビニのナポリタン食べ比べなど、リポート以外にも盛りだくさんの内容で、一読したらあなたもナポリタンのとりこに。
(駒草出版 1400円+税)