「ある実験」両角長彦著
塾講師の川津は、警察の事情聴取を受ける。その日、川津の母校の非常勤講師・中平が自宅で殺され、長男の郁雄が連れ去られた。現場のメモには、郁雄の命と引き換えに、中平が20年前に学生を集めて行った実験の詳細を深夜0時までにネット上に公開するよう書かれていた。川津はその実験に参加した5人の学生の1人だった。
実験は、仕事や性別、年齢などが異なる16人のデータをもとに、その中から地球最後の日に生き残る者として1人を選ぶというものだった。就職試験で不合格が続く川津は、人間を選別するという行為に嫌悪感を抱くが、謝礼の1万円に引かれてメンバーとともにディスカッションを続ける。
20年前の心理実験が引き起こした事件の真相の謎を描く長編ミステリー。
(徳間書店 690円+税)