「白椿はなぜ散った」岸田るり子著
貴が5歳のとき、通っていた幼稚園に赤い髪とグレーの瞳を持つ万里枝が転入してきた。万里枝はフランス人の母と日本人の父を持つハーフだった。以来、万里枝への思いを秘めながら幼馴染みとして育った貴は、いつか彼女とひとつになることを信じて、同じ大学に進学。彼女が所属する創作サークル「カメリア」にも参加するが、同じく部員で財閥の跡取り息子の西脇が万里枝に接近する。
そんなある日、嫉妬に苦しむ貴の下宿に異父兄の晴彦が転がり込んできた。ピアニストの晴彦は、貴とは正反対の性格で、容姿も兄弟とは思えぬほどハンサムだった。貴は、西脇を万里枝から遠ざけるために晴彦に協力を求めるが……。
京都を舞台に意表を突く複雑な構成で読者を魅了する長編ミステリー。
(徳間書店 800円+税)