「悲痛の殺意」中町信著
妻と10歳の娘・可奈子を連れて新潟県の大湯温泉に旅行に出かけた牛久保は、ホテルで亡弟・周兵の恋人だった多美子と再会する。多美子は可奈子を産んですぐにブラジルに渡り、その1年後に周兵が事故死。以来、牛久保は妻と可奈子を我が子として育ててきた。多美子がブラジルで客死したと聞いていた牛久保は、思わぬ遭遇に動揺する。
その夜、多美子が可奈子が牛久保との子供だとほのめかし、金を要求してくる。2日後、牛久保一家は予定を早めチェックアウト。同じころ、ホテルを出たバスが川に転落し、多美子を含む乗客5人が死亡する。しかし、多美子だけ他殺だったことが分かり、警察の捜査が始まる。
さまざまな事情を抱えた客たちが宿泊するホテルを舞台に描くサスペンス。
(徳間書店 720円+税)