「妻は忘れない」矢樹純著
千紘は3年前に結婚した夫の晶彦に殺されるかもしれないという不安にさいなまれていた。思い返せば、あのときから晶彦は変わってしまった。
3カ月前、晶彦の父親が急死。葬儀の日、実家に突然、5年前に離婚した晶彦の前妻・佑香が焼香をあげに訪ねてきた。千紘は、晶彦に追い返されるように帰った佑香が帰り際、「いずれはちゃんと奥さんに伝えてよ」と言い残すのを耳にしてしまう。
その日以来、晶彦は外出が増え、千紘は夫が佑香とよりを戻したと確信。そして、夫の通勤カバンの中にあるものを見つけ、彼が自分を殺そうとしていることに気づく。そんなある日、警察から晶彦がトラブルに巻き込まれたと連絡が入る。(表題作)
日本推理作家協会賞短編部門受賞作家による戦慄のミステリー集。
(新潮社 590円+税)