「傍聴者」折原一著

公開日: 更新日:

 フリーライター、池尻淳之介に、親友の等々力謙吾の母から電話があった。

「謙吾が自殺しました」 車の中で、一酸化炭素中毒で死んだという。2カ月ほど前に、結婚するつもりだという電話をもらったばかりなのに。合コンで知り合ったと、スマホで彼女の写真を送ってくれた。結婚祝いを送った後、午前2時前後に、ろれつの回らない声で電話があった。

「助けてくれ。密室状態で死につつある」と。

 あのとき、「犯人は誰なんだ?」と聞いたが、返事はなかった。等々力のマンションで彼の母に会うと、結婚の話は聞いていないという。彼女の写真が入っているスマホは見つからなかった。

 木嶋佳苗事件をモチーフにしたミステリー。

(文藝春秋 1750円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…