「鉄道マーク大図鑑」松原一己著
かつての国鉄時代の特急列車の車両先頭部には、それぞれの列車名とモチーフがデザインされたヘッドマークがついていた。同じタイプの車両が行き先の異なる特急列車に使用されていたため、乗り間違いを防ぐためだった。JR化後はヘッドマークがない車両が投入される一方で、側面にロゴマークを入れる車両が増えた。
本書は、こうしたロゴマークを含む鉄道各社の「トレインマーク」を集めたイラスト図鑑。
まずは鉄道の花形・新幹線。国鉄時代には、3系統しか製造されず、ヘッドマークの掲出には不向きな流線形の先頭部もあって、トレインマークは少なかった。しかし、JR化後に車両形式が増えると、車両の特徴や走行エリアを表現するトレインマークが登場。そんな現役の新幹線のトレインマークが勢ぞろいする。
東北・北海道新幹線「はやぶさ」に投入されている「H5系」のトレインマークは、シロハヤブサと北海道のシルエットを融合させたスピード感あるデザインで、ハヤブサをモチーフにした先輩の「E5系」を継承しつつ、独自の個性を出している。
他にも平安時代の美女・小野小町をイメージした秋田新幹線「E6系」や、ベニバナや樹氷など沿線の四季折々の風物詩を取り入れた山形新幹線「E3系1000番代・2000番代」など、こだわりや、美しいデザインを改めて知り感嘆する。
中には、新幹線用高速試験車「ALFA―X」など旅客が乗ることがないため、めったにお目にかかることがない車両のトレインマークも網羅する。
その他、「ななつ星in九州」などの豪華列車やイベント列車、個性派ぞろいの私鉄や第三セクター鉄道、そして廃止された路線や列車の懐かしきトレインマークまで。その魅力を知れば、旅の新しい楽しみが増えるはず。
(天夢人 1800円+税)