「騙(かた)る」黒川博行著

公開日: 更新日:

「アートワース」は売れない芸術家の作品を紹介して掲載料を取る、ちょっといかがわしい美術雑誌だ。編集長の佐保は、近代抽象彫刻の大家、楢沢知也の遺族から、楢沢の遺品のコレクションを処分したいという依頼の手紙を受け取った。未亡人は入院中で、会ったのは姪の宮前邦子とその妹だ。

 見せられた作品はレプリカだったが、佐保は楢沢の作品のマケット(縮小模型)に目を付けた。邦子はオークションに出したいと言うが、佐保は画廊や美術商に売るように勧めた。そのほうが落札価格を邦子に知らせずにすむからだ。佐保はギャラリーはなむらに1点70万円で売り込むが……。(「マケット」)

 美術界に蠢く人びとを描くミステリー6編。

(文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    ヤクルト茂木栄五郎 楽天時代、石井監督に「何で俺を使わないんだ!」と腹が立ったことは?

  5. 5

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ

  1. 6

    菜々緒&中村アン“稼ぎ頭”2人の明暗…移籍後に出演の「無能の鷹」「おむすび」で賛否

  2. 7

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  3. 8

    ソフトバンク城島健司CBO「CBOってどんな仕事?」「コーディネーターってどんな役割?」

  4. 9

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 10

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ