「菅義偉の正体」森功著
秋田県初の総理大臣となった菅義偉の評伝。
不動のナンバー2として安倍長期政権を支えた氏は、豪雪地帯から上京し、門閥や学閥も持ち合わせず、さまざまな苦難を乗り越えて現在のポストにたどり着いたというイメージを周囲に植え付けてきた。そもそも農家を継ぐことに抵抗を感じて集団就職で上京した、という本人が好んで語るプロフィルにも脚色があるという。
氏の父親は単なる農家ではなく戦後、イチゴ農家として中央にもその名をとどろかせた大物だった。少年時代から青年時代、そして国会議員へと時を経るにしたがって生きる姿勢を変えてきた氏の人生を克明に取材。昨秋の自民党総裁選の舞台裏にも迫りながら、「叩き上げの苦労人」という虚飾の仮面を暴き、その素顔を明らかにする。
(小学館 1000円+税)