「ロシアを決して信じるな」中村逸郎著
ロシア研究の第一人者が日本人にはなかなか理解できないロシア人の不思議をつづるロシア論。
昨年2月、著者は入手した資料の真偽を確かめるためモスクワに飛ぶ。そこには1995年1月、自国に向かってくる飛翔体をアメリカからの核攻撃と認定して、当時のエリツィン大統領が核兵器の起動システムを作動させるボタンを押したと記されていた。当時の大統領補佐官に真相を問いただすと、驚くべき答えが返ってくる。
ほかに、嘘に嘘を重ねるロシア流交渉術にハマった日本の北方領土返還交渉をはじめ、ロシアでささやかれるプーチン大統領死亡説と偽プーチン疑惑や日常茶飯事化した暗殺など。
政府高官から市井の人々まで幅広い交遊から垣間見えた、信じられないロシア人たちの素顔を紹介する。
(新潮社 814円)