「マルチの子」西尾潤著
鹿水真瑠子は「健康増進協会」お墨付きの健康磁気マットレスの新規顧客獲得のためのプレゼンテーションを担当している。4歳年上の姉は賢く、妹は素直で愛らしい。2人は自分が何者かを知ることができて、夢を見つけることができた。だが、真瑠子は得意なこともなく、褒められたり注目されたこともない。
ある日、バイト先で丹川谷勝信に声をかけられた。「鹿水さん、夢ってありますか?」。そして、この仕事は、人を応援することが自分の幸せにもなる、と勧誘された。その言葉が真瑠子の心に響き、欠けていたピースがそのときはまったのだ。
認められたいと願う女性がマルチ商法に絡め取られていく姿を描くサスペンス。
(徳間書店 1980円)