「自分の謎」赤瀬川原平著
前衛美術家で作家の著者が晩年に残した「こどもの哲学 大人の絵本」シリーズ第1弾。
「目の問題」と題された第1章では、鏡を見るのが嫌な理由について考える。「鏡に映っているのは自分だけど、その自分という人の目がこちらを見ている。それがどうも嫌で、そんなに見ないでくれと、本当はそう言いたい」と記し、猿山の猿や観測衛星など持ち出しながら、見るということ、鏡に映る自分とこっち側の自分について考える。そして「鏡の中にいるのは、自分のようだけど、あれは自分ではない人だ。自分はここにしかいない」との結論に至る。続いて、爪や髪の毛を切っても痛くないのに、手は切ると痛いと「痛い問題」について考えるなど。
イラストと短い言葉で、読者の思考を揺さぶる。
(筑摩書房 748円)