「灯をともす言葉」花森安治著
戦後に創刊した「暮しの手帖」で、消費者の視線で衣食住への提案や、生活を脅かす社会や政治への批判を続けた著者の言葉を編んだ至言集。
「美しいものを見わける眼を持っているひとは、どんなときでも、自分の暮らしを、それなりに美しくすることができる、幸せなひとである」「暮らしと結びついた美しさが、ほんとうの美しさだ」などの「美について」語った言葉をはじめ、「<国をまもる>とか<国益>とかいいます、そのときの<国>という言葉には、ぼくらの暮らしやいのちはふくまれていないはずです」など「この国について」記した言葉。さらに「私たちの暮らし」や「装う」について、庶民に徹底的に寄り添った氏の深い思索から生まれた言葉が読者の心に灯をともす。
(河出書房新社 869円)