「二重らせんのスイッチ」辻堂ゆめ著
システムエンジニアの桐谷雅樹は、路上販売の弁当店で女性店員が息をのんで自分の顔を見つめるのに気づいた。怪訝に思いながら会社に戻ると警視庁の刑事に有無を言わさず連行された。松濤の高級住宅街で起きた強盗殺人の容疑だという。
犯人が量販店で凶器を購入した時の防犯カメラの映像を見せられ、雅樹は絶句した。着ている衣服に心当たりはないが、カメラを見上げているのは自分の顔だった。凶器に犯人の血が付着していたため、DNA鑑定してもらったが、見事に一致した。幸い当日時間をつぶしていたカフェの店員の証言で、容疑は晴れるのだが……。
DNA鑑定の落とし穴を描く戦慄のミステリー。
(祥伝社 1870円)