「爆弾」呉勝浩著
野方署の等々力功は、傷害事件で連行された、自称スズキタゴサクの取り調べに手を焼いていた。変にくつろいでいて本名を言おうとせず、霊感が強いので事件を予知できると言い出した。秋葉原のあたりで10時に事件が起きる予感がすると言う。等々力は取り合わなかったが、後輩の伊勢が飛び込んできて、等々力にささやいた。
「秋葉原で爆発です」
スズキは「わたしの霊感じゃあここから3度、次は1時間後に爆発します」と告げる。2個目の爆弾はガセかと思った直後、ニュースの字幕が出た。
「東京ドームそばで爆発」
警察を翻弄する男の取り調べで爆発事件を食い止めようとするスリリングな警察小説。
(講談社 1980円)