「SDGsは地理で学べ」宇野仙著
世界では高速で物事が動いており、日本のSDGsへの取り組みや国民意識は、既に周回遅れになっているという。本書は、地理の視点からSDGsを解説したテキスト。
豊かな生態系や大自然に恵まれたイメージがあるオーストラリアで、干ばつや大規模な森林火災、サンゴ礁の白化現象が起きていながら、環境対策に消極的な背景を解説。
一方、石炭輸入量の6割を同国に頼る日本にとって、彼らが抱える環境問題や自然災害が決して対岸の火事ではないことを指摘する。
他にも中国やインドの深刻な大気汚染、シベリアで起きている永久凍土の融解などを例に、国境を超えて世界を揺るがす環境問題をはじめ、人権や貧困、経済成長などの地球的課題について世界の現状を解説する。
(筑摩書房 880円)