「終活中毒」秋吉理香子著
ピンのお笑い芸人の六ちゃんは、がんで余命数カ月と宣告された。まだ41歳で、娘は5歳なのに。そこで、ピン芸人が対象のP1グランプリに挑戦することにした。優勝者には賞金500万円と冠番組などが与えられる。優勝して名前と500万円を残すことが六ちゃんの終活となった。
1回戦のとき、以前客席で見た、黒い帽子に黒い服の老人がいることに気づいた。後輩の話では、「お笑いの死神」と呼ばれているらしい。一度も笑ったことがない死神を必死で笑わせた芸人は、その後、死んでしまったという。(「お笑いの死神」)
ほかに、余命をSDGs活動につぎ込む女性の資産を狙う男など、終活をテーマにした短編4編。
(実業之日本社 1650円)