「ものがわかるということ」養老孟司著
数学者の新井紀子が著書「AI VS. 教科書が読めない子どもたち」で、中学生の読解力が落ちていると書いているが、養老は子どもたちは答えることを拒否しているのではないかと感じた。
提示された選択肢の中から正解を選びたくなかったのではないか。そう考えて、逆に希望を感じた。
現代社会では何かわからないものに、例えばSDGsと命名してわかったような気になる風潮がある。それは言葉が思考停止の道具になっているということだ。言葉が豊かなほど考える道具は多くなるが、言葉だけにとらわれると言葉で表現できないものを見失うことになる。
解剖学者が「わかる」ということを解説した一冊。
(祥伝社 1760円)