「噴怨鬼」高橋克彦著

公開日: 更新日:

「噴怨鬼」髙橋克彦著

 仁和4(888)年の暮れ、陰陽寮の頭(かみ)を務める弓削是雄の屋敷で、陰陽生の紀温史(きのあつし)が護摩壇を調えていた。是雄が赴任していた陸奥の鎮守府から連れ帰った淡麻呂という子どものもつ不思議な力を試そうというのだ。

 術士、蘆屋道隆が、伴大納言を名乗る鬼と出会ったという男を連れてきた。伴大納言は20年以上前に応天門の変を引き起こしたといわれている人物だ。火付けの罪で流罪となり、伊豆で死んだが、怒りのあまり噴怨鬼となってこの世に舞い戻り、疫病をまき散らしているという。

 是雄が大呪を唱え、道隆が連れてきた男の顔を紙の人形でなでると、男は苦悶の表情を浮かべ、泡を吹いた。次に淡麻呂の体を人形で拭い、「この者の見聞きしたものすべてを依り代に移し賜れ」と唱えると、是雄は眩しい光に包まれた。

 妖異が跋扈(ばっこ)する時代を舞台に、強大な権力と闘う陰陽師を描く歴史小説。

(文藝春秋 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!