「落語で資本論」立川談慶著 的場昭弘監修・解説

公開日: 更新日:

「落語で資本論」立川談慶著 的場昭弘監修・解説

 談慶の師匠だった立川談志は「落語のテーマは飢えと寒さである」と定義した。

 落語の登場人物は「飢えと寒さ」を分かち合いながら、そこから抜け駆けするような、銭を貯め込んだり、金儲けに走る人間を嫌い、彼らのなかに「宵越しの金は持たない」という価値観が生まれた。また、壁が薄くて隣の家の声が筒抜けで、トイレは共同便所というストレスがいっぱいの環境で生活していたことから、他人の気持ちを「忖度」するようになる。

 この2つが融合して、金儲けを拒絶する社会が生まれたのに、明治になると「労働力が商品になる」という経済システムが出現する。江戸っ子はそういう社会が到来することを予感していたのではないか。

 経済学部出身の落語家が、落語をネタにマルクスの「資本論」に挑む。

(日本実業出版社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!