「落語魅捨理全集 坊主の愉しみ」山口雅也著
お馴染みの古典落語を下敷きにした新趣向の時代ミステリー(魅捨理)短編集。
「飲む・打つ・買う」など男の悪癖にはいろいろあるが、一番タチの悪いのが「蒐集(しゅうしゅう)癖」だ。あるところに「打つ」と「蒐める」が高じて金欠になった骨董商がいた。男は僧侶に成りすまし、田舎の村々を巡り、舌先三寸で骨董の掘り出し物をタダ同然で仕入れることを思いつく。男は、とある田舎の茶屋で、猫のエサの器が、高価な絵高麗の梅鉢だと気づき、主人をだまして手に入れようとするが失敗。逆に主人は、偽坊主が持つ平賀源内ゆかりの刻みたばこ用点火器を使って賭けをしようと言い出す。(「坊主の愉しみ」)
「時そば」や「あたま山」などに材をとった7編を収録。
(講談社 748円)