「家族じまい」桜木紫乃著

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「家族じまい」桜木紫乃著

 子育てを終えた48歳の智代は、還暦間近の夫・啓介と北海道の江別市で2人暮らし。

 ある朝、智代は夫の後頭部に10円ハゲを見つけるが言い出せない。パート理容師の智代は、夫がハゲができるほど何かに悩んでいるのかもしれないと思うと、それを聞き出すことにちゅうちょしてしまったのだ。

 同じ日、妹の乃理から釧路に住む両親の様子を見に行ってほしいと連絡が入る。実家の両親と連絡を取り合っている乃理によると、母親のサトミが「ボケちゃったみたい」という。若いときに父親との関係がこじれ、なるべく実家と距離を取ってきた智代は気が重い。

 以降、啓介の弟に嫁いだ27歳下の嫁・陽紅や乃理、サトミの姉・登美子など、さまざまな視点から各人が抱える家族へのしがらみを描く連作集。

(集英社 748円)

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