「家康が最も恐れた男たち」吉川永青著
家康は、病の床で子々孫々に申し伝えるべき遺訓を記す。すべて、家康の前に立ちはだかった難敵から学んだことだ。彼らの何を恐れ、そこから何を得たのか、家康は林羅山に語って聞かせる。
将軍・足利義昭が信長討伐の密使を各地に放ったとの噂が広まる中、浜松城の家康に奥三河の三方衆が揃って、武田側に寝返ったとの知らせが届く。家康は領国、そして信長との盟約を守らなければならない。
しかし、奥三河の3人は、信長討伐に立ち上がった武田の侵攻を阻む役割を担っており、その寝返りは家康にとって驚天動地の一報だった。信玄の死後、家康はあのとき、真っ先に奥三河の3人を調略した信玄の深慮遠謀に気づき、恐れを抱く。(「武田信玄」)
そのほか、信長、真田昌幸、秀吉ら家康の視点で8人の武将を描く連作。
(集英社 924円)