(32)もう、取り返しがつかない
幻聴と戦う間にも、痛みは着実に強くなっていった。初産とは、もっと時間がかかるものではないのか。母体が若いと進みが早まるのか。判断がつかない。だが痛みの間隔は狭くなっている。さすがに産院に電話しなければ。タクシーを呼ばなければ。思考だけが同じところを回り続け、身体が置いてきぼりに…
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