「男性の性暴力被害」宮﨑浩一、西岡真由美著
「男性の性暴力被害」宮﨑浩一、西岡真由美著
ジャニーズ問題でも明らかなように性暴力被害は、女性だけでなく男性をはじめ、どのような人にも起こり得ること。
しかし、社会には「男性は性暴力被害に遭わない」「遭ったとしても女性ほど傷つかない」などの思い込みがあり、サポート体制も十分ではない。性暴力被害に遭えば、男性も傷つくし、尊厳が侵害され、その影響は計り知れない。
それでも、男性の性暴力被害がこれまで公に語られることが少なかった背景には、「男は強くあれ」「据え膳食わぬは男の恥」などといった「男らしさ」にまつわる社会の暗黙の了解が影響していると著者らは指摘する。
本書は、男性の性暴力が不可視化されてきた社会的構造の分析から、被害の実態、心身に及ぼす影響、そして回復や支援のあり方まで、さまざまな視点から論じた手引書。
(集英社 1056円)