「ジェンダー・クライム」天童荒太著
「ジェンダー・クライム」天童荒太著
秋川街道の朽ちかけた熊川神社の近くで、中年男の死体が発見された。死体は裸で、ガムテープで後ろ手に縛られていた。血中から睡眠導入剤の成分が検出され、体内から小さなポリ袋が取り出された。中には「目には目を」と書かれた白い紙が……。
被害者は優良企業の部長、佐東正隆と判明、佐東の妻の恵麻は刑事から「目には目を」という犯人からのメッセージを伝えられると、「……シント」とつぶやいて崩れおちた。それは佐東夫妻の一人息子、進人の名だった。やがて、進人に女子大生を集団レイプした経歴があることが明らかになる。
世代を超えて連鎖する性犯罪の闇を描く、サスペンス小説。
(文藝春秋 1870円)