「一億円の犬」佐藤青南著
「一億円の犬」佐藤青南著
小筆梨沙は六本木のセレブ妻と自称して、SNSでマンガ「保護犬さくら、港区女子になる」を投稿している。
ある日、出版社の編集者、寺本から書籍化したいという話がきた。動画配信すれば1億円も夢ではないと言われ、舞い上がるが、実はあの作品はすべて架空の設定だ。
東大出で霞が関のエリート官僚の夫も、六本木のタワーマンションの自宅も……。実際は川越のアパート暮らしで、携帯電話ショップで働いている。
しかたなく保護犬のコロンを引き取ることにしたが、担当者が事前に家庭訪問をするという。携帯電話ショップの客、中岡が入院中であることを知り、中岡の家を自宅にみせかけようと中岡の家に忍びこむが、そこにはビニールシートに包まれた女の死体が転がっていた。
予想外の展開が続くサスペンス小説。
(実業之日本社 1870円)