小泉八雲の「怪談」は刊行から100年経っても楽しめるし怖い
出版社の特派員で来日 島根県松江で英語教師に
私事ですが、昨年身体を壊して入退院を繰り返しました。そのリハビリ旅行で10月に松江の小泉八雲記念館と旧宅を訪れた私は、彼が執筆していたという旧宅の書斎で、その姿を偲ぶ機会に恵まれました。
畳部屋の向こうに庭を望む書斎は、「鍵を掛けなくとも不安がない」という彼の心を代弁するかのように障子が大きく開け放たれ、外からの心地よい風が机の上を渡っていました。
100年以上前、まさに彼はそこに座っていたのです。
市内のカラコロ広場には、小泉八雲のモニュメントがあります。
壁の中へと消えていくような後ろ姿のシュールなものだが、くたびれた帽子と背広、手には愛用のトランクとボストンバッグというその姿は、渥美清の『寅さん』と見紛うくらい馴染みのあるスタイルです。
彼が日本文化を愛し、日本人から愛される人だったことは間違いありません。