(73)誰もが競って黄表紙を買っていく
店の外でとせの悲鳴、蔦重は気が気でない。
「どうした、大丈夫か!」
耕書堂の店先はそのまま引手茶屋「蔦屋」の店頭、吉原大門のすぐそば、緩い勾配の衣紋坂へ三度曲がって繋がる五十間道にある。道の両側には茶屋を主体に商家がぎっしり並ぶ。
「蔦重さん、あれ!」
…
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