パニック障害発症で番組すべて降板 円広志を支えた妻の献身
円はテレビの仕事をやめたら、少しは楽になると考えていたが、実際には逆だった。症状はどんどん悪化。朝、カーテンを開けて空を見て鉛色に見えるだけで絶望感を感じ、布団に逆戻りする日々が続いた。徳島の別荘で転地療養も試みた。しかし、途中の高速道路が不安で、生きた心地がせず、発作の不安からも解放されなかった。
当時はまだ「パニック障害」という病気の認知度は低く、病院を転々とした。病名がわかったのは6軒目の耳鼻咽喉科のめまい外来を受診した時だ。ここで「パニック障害」と診断され、1日3回服用する治療薬と発作時の応急薬を処方してもらうようになって症状は快方に向かった。
パニック障害では完全休養すると長期化やうつ症状など病気の悪化を招くことがある。円の場合、キャンセル料を避けるためにステージの仕事だけは無理してでも続けたことが幸いした。スポットライトに恐怖を感じる円のため、ステージ全体を明るくするなどの配慮もなされた。
妻も闘病を支えた。かつては“鬼嫁”呼ばわりしたこともあったが、洗濯する妻の背にしがみつき、寝る時も手を握りしめたという。円は4カ月後、仕事を再開する。「戻ってくるまで待ってるから」というスタッフの言葉通り、上沼恵美子と共演するバラエティーでは円の席が以前と同じように用意されていた。