食道がんで番組を降板した城達也 最後の「ジェット・ストリーム」
がんの摘出手術は3月1日に行われたが、城は「声帯は私の命。声が変わらぬよう、ぜひよろしくお願いします」と担当医に頼んだ。
大手術だったこともあり、退院は5月にずれこんだ。仕事への全面復帰はできなかったが、ジェット・ストリームの収録だけは体調の良い時を見計らって続けていた。
だが、夏には肝臓へのがん転移が判明する。入退院を繰り返すようになり、「もし倒れたら迷惑がかかる」と番組降板を申し出る。最後の収録は94年12月13日、63歳の誕生日に行われた。この日も最終回を含めて2週分10本が録音された。「ラスト・フライト」というタイトルが付けられた最終回のオンエアは12月30日。城は番組の終わりを「25年間、私がご案内役を務めて参りましたジェット・ストリームは今夜でお別れでございます。長い間本当にありがとうございました。またいつの日か、夢もはるかな空の旅でお会いいたしましょう。……では皆さま、さようなら。良いお年をお迎えください」と締めくくった。
27年間、城は番組を一度も休むことはなく、最終回までの放送は実に7387回を数えた。番組担当中、海外旅行に行く時間が取れなかった城は降板後、「これから旅に出ようかな」と語ったが、その後、病状は悪化し入院となる。妻は当時の様子を「自分の欠点を見せないというか、病気でもお見舞いに来てくださる方には元気なように振る舞っていました」と語った。そして、2月25日に容体が急変、午後8時10分に眠るように息を引き取った。