食道がんで番組を降板した城達也 最後の「ジェット・ストリーム」
<1994年12月>
「プラチナの低音」と呼ばれた甘い声が魅力の声優、城達也。TOKYO FMの音楽番組「ジェット・ストリーム」では67年の放送開始以来、ナレーションを務めていたが、94年12月、食道がんで番組を降板する。
城は95年2月、惜しまれながら63歳で亡くなった。
92年ごろから異常な疲労感に襲われることがあったという城。93年6月の人間ドックでは異常はなかったが、半年後の12月に病院で検査を受けたところ、食道がんが発見される。
医師は城本人に告知し、帰宅した城は妻に「ズバリと言われちゃったよ。こんな病気になってごめん。でも、あなたがしっかりしてくれないと療養できないのでよろしく」と告げた。
即時入院を勧められたが、手術の順番待ちだけではなく、番組に対する責任感から入院を翌年2月末まで延期した。
ジェット・ストリームでは通常1日の収録で月曜から金曜までの5本分の録音が行われていたが、番組が途切れることを心配した城は入院までの間、10本から15本分をまとめて収録するなど、精力的に仕事をこなした。