「その気にさせられ…」西岡徳馬がホレた太地喜和子の艶演技
公演が始まる3カ月ほど前のこと。シェイクスピア・フェスティバルの配役が、劇団の廊下の壁に張り出された。ロミオ役のところに当時の劇団員名で本名の「西岡徳美」を見つけた瞬間の喜びは、いかほどだったか。
「それはもちろん、やった~!! 跳び上がらんばかりにうれしかったですよ。初めての大役でしたから。その頃のオレって、すっごくのんびりしてて、あてがわれた役をただ演じてただけ。あれがやりたい、これがやりたいって気持ちもなかった。だから、余計うれしかったですね」
そして、ロミオ役の隣に書かれてあったのは当然…。
「ありゃ~、太地さんがジュリエットなのかと…。そのとき太地さんはもう、スターでしたから。オレの3期先輩で、3つ年上だし。光栄だという気持ちもあったでしょうけど、緊張の方が大きかったように覚えてます」
■家に帰ってもアンタのこと考えてる
さて、写真はどんなシーンだったのか。当時、太地さんは28歳。目力の強さが後年とまったく変わらない。25歳の西岡さんは精悍な顔つき。迫真の演技が、ひしひしと伝わってくる。