「その気にさせられ…」西岡徳馬がホレた太地喜和子の艶演技
今でこそテレビドラマにも頻繁に登場する西岡徳馬さん(67)だが、元はバリバリの舞台役者。文学座に入団してわずか3年目の1972年、「ロミオとジュリエット」の主役に抜擢されたときのワンシーンが、このモノクロ写真だ。ジュリエット役は、92年に亡くなった太地喜和子さん。迫真の表情には、どんな思い出が詰まっているのか。
「この写真は昭和47年の5月だったと思います。信濃町(新宿区)にある文学座アトリエで、『シェイクスピア・フェスティバル』と銘打った公演がありまして。シェークスピア3部作『ロミオとジュリエット』『ハムレット』『トロイラスとクレシダ』を、4月から6月にかけて一挙上演したんですね。『ロミオとジュリエット』は、オレと太地喜和子さん。『ハムレット』は確か、江守徹さんだったと記憶してます。文学座に入って3年目を迎えたときでした」
玉川大学文学部芸術学科演劇専攻で4年間、芝居漬けの生活を送った西岡さんは、卒業後、文学座に入団した。それも、通常のルートは養成所~研究生~劇団員なのに、いきなり研究生からスタート。1000人が養成所試験を受験したと仮定した場合、研究生に上がれるのは5、6人で、晴れて劇団員になれるのは1人か2人、といわれるほどの狭き門。よほど才能があったのだろう。