巨匠に不満顔で…細野辰興監督“給料全額カット”を語る
落ち度もないのに、怒鳴られたり、責任を取らされたり。若いころ、とりわけ駆け出し時代は、理不尽な目に遭うこともある。映画「シャブ極道」などで知られる細野辰興監督(64)もそうだ。師匠の今村昌平監督から給料全額カット処分が下された。
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「ええじゃないか」(1981年)という今村作品の撮影中のことでした。埼玉県三郷市の水元公園近くの大オープンセット。横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)を出た僕は今村プロに入れてもらうよう直談判し、「じゃあ来い」ということで、撮影スタッフに加えてもらっていたんです。
たしか月給は5万円。当時の大卒初任給12万800円の半分以下でしたけど、「おまえはこれからギャラをもらいながら学べるんだ」と言われ「はい」と答えていた。実家のあった逗子海岸駅(当時)前の劇場に入り浸り、3本立ての映画を見て育ちました。東映の時代劇だったか、親父の肩車で客席が一体となって盛り上がるのにしびれ、物心つくころには、映画を仕事にと決めていた。とはいえ映画会社は狭き門だし、食堂に行けばたらふく食べることができたので、待遇に不満はありません。