第1話から食に注目 NHK「ひよっこ」が狙う視聴者の胃袋
来月1日に最終回を迎える「べっぴんさん」の芳根京子(20)から、「ひよっこ」(3日スタート)の有村架純(24)へ――。NHK朝ドラ恒例のヒロインによるバトンタッチセレモニーが23日、東京・渋谷の同局で行われた。
ドラマゆかりの品を贈るプレゼント交換では、芳根はサシのたっぷりと入った高級神戸牛ステーキを、有村は自ら稲刈りした米と北茨城の名産品セット(あんこう、トマト、いちご、納豆など)をそれぞれ用意。「朝食にいただいたお米を炊いて『ひよっこ』を見たい」(芳根)、「まさかお肉をいただけるとは……。スタミナがつきそうでうれしい」(有村)と喜び合っていた。
■家庭食、外食ともにプロの料理監修
それにしても、旬の朝ドラ女優が大事そうに抱えるとより食べ物が引き立つものである。この絵面を見た自治体からPR大使のオファーが殺到してもおかしくないが、朝ドラ自体も「食」とは切っても切れない関係にある。
「『食べる』行為は日常そのもの。ヒロイン一家の生活を丁寧に描く朝ドラは物語を展開させる上で、家族で食卓を囲むシーンは重要な要素を担います。そこに登場する料理が視聴者の食欲をそそるひと皿であれば、なおさら。『ごちそうさん』ではレシピ本が出版され、ドラマ人気の底上げに一役買うことにもつながりました。上流階級の生活を描いた『べっぴんさん』とは異なり、農家の生まれで“金の卵”として集団就職で上京するヒロインを描く『ひよっこ』は、食卓ひとつ取っても親しみが湧きやすい。高度成長期という時代背景しかり、食べ物のありがたみを再認識する作品にもなるのではと大変期待しています」(コラムニストの桧山珠美氏)
第1週では根菜の煮物が数品並ぶ“真っ茶色”の農家の食卓が映され、当時はまだ珍しかった洋食屋のトンカツサンドを後生大事そうに頬張るヒロインが描かれる。しかも、家庭食、外食ともにプロの料理監修を立てるこだわりよう。視聴者のハートと胃袋をつかんで高視聴率に期待がかかる。