演じなくてもヒーロー 藤岡弘、が貫く生涯未完成のロマン
「国民の常識です! これを知らない日本人は日本人とは認めません」(カズレーザー/テレビ朝日「張り紙パイレーツ!」3月20日放送)
メイプル超合金のカズレーザーは「藤岡弘、」の芸名に「、」が付いている意味を問われ、「自分は未完成で先があるという思いを込めた」と即答した。「よく知ってるねえ」と柔和に笑う藤岡にカズレーザーが返した言葉を今週は取り上げたい。
藤岡弘、(72)といえば、「仮面ライダー」の本郷猛を演じたこともまた、「国民の常識」だろう。だが、ヒーローものをやりたいと思っていたわけではなかった。愛媛県の田舎で育った藤岡にとって、一番の刺激だったのは映画。いつしか、その中に入りたいと思うようになり上京。松竹映画でデビューしたが、来る仕事は自分がやりたい役とは違っていた。
彼が望んでいたのは、アクションだった。そこで選んだのが「仮面ライダー」だったのだ。当時は、スーツアクターなどいない。アクションシーンも自分自身で演じる。望むところだった。
だが、仮面をつけているため視野が狭くなり、遠近感がなくなる。その状態のままスタントさながらのアクションをするのだ。結果、第10話を撮影中、バイクで転倒し大ケガを負った。これもまた「国民の常識」だ。