片岡仁左衛門の一世一代 「絵本合法衢」で魅せる悪の美学

公開日: 更新日:

 今年は、久しぶりに仁左衛門・玉三郎コンビが復活し、3月は南北の「於染久松色読販」が上演された。2人ともヨレヨレになってまで役にしがみつくタイプではないので、南北ものを演じられるのもあと数年だろう。真面目過ぎて息苦しくなっている歌舞伎座に、「悪の美学の華」を2人でもう1回満開にさせ、退廃・爛熟も歌舞伎の魅力だと再発見させてほしい。

 昼の部は尾上菊五郎の「裏表先代萩」で、こちらも菊五郎が2人の悪人を演じている。もうひとつが真山青果原作の「西郷と勝」で、尾上松緑が西郷、中村錦之助が勝を演じる。真山青果の3部作「江戸城総攻」の中から、西郷と勝の場面を取り出して1時間ほどに再構成したものだが、後半は西郷がひとりで長々と演説していて、芝居として退屈だった。劇の構成上のバランスが悪い。

(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動