70年代のやくざ映画は下ネタゼリフも小気味良かったが…
あの山守組の親分、金子信雄も今度は市会議員に成り上がり、「ほいでの、夕べ、わしらがパトカー借りたんは新聞に黙っとってくれぃ、のう、いっぺん芸者でもあげて飲ますちゃるけ」なんて。そしたら、池玲子も丸裸になって「いやー、いやッ、もう……死んじゃう!」と体当たりでセックス。相手はもちろん若衆頭の松方弘樹。
「おお、死ね、死ね、オメコがシビれて立てんようにしちゃるけんの!」とご両者、猛獣のようにのたうち回っていた。そんな乱れ放題のベッドシーンもどこか画面に品格があった。山形生まれの成田三樹夫も「そこら、あんじょう考えたっておくんなはれや。殴り込みにきたやつらのメンはよう覚えとりまっさかい」と大阪弁は最高だ。
そして、川谷拓三も狂犬のようにほえまくっていた。文太刑事の眼前で「おどれら、あっちの組から袖の下の税金取っとるそうじゃないの? いっぺんその汚れたケツ洗ったろうかい」と。70年代の笠原和夫の「やくざ映画」の脚本は一言一句に味があった。どんな下ネタゼリフも小気味よかった。
でも、今公開中の「孤狼の血」は耳障りなセリフばかりで、