炎上女優はトランプ支持者 “政敵をいじった”程度の認識か
だとすれば、世の中の風向きを読み違えていたということになろう。
だが一筋縄でいかないのは、バーは女優としてだけでなく制作者の一人として、中絶やLGBTなどのマイノリティー問題、アメリカの健康保険問題などをたくみにコメディードラマ「ロザンヌ」のなかに取り込み、視聴者にその深刻さや重要性を訴えかけていたことだ。わが国でも、腎臓病患者の人工透析や過労による自殺者をSNSで批判する向きがあったが、そうした薄っぺらい自説の開陳とは一線を画す、自身の政治的野心に見合うだけの議題の提出を行っていたのである。
バーといいH&Mといい、制作にも携わるベテラン女優や広告のプロが、酒場で酔客がやるようなやぼな人種ヘイトの表現をしたことで、どうにもすっきりしない炎上をしてしまった。逆張りをし、時にわざと弱者や無関係な相手を敵に回すことで場をコントロールしようとする炎上商法は、やはり非常に難度の高い方法論であると言わざるを得ない。見識もなく、うかつに手を出すと痛い目に遭う。
一方で、目についた相手をくさして留飲を下げるタイプの炎上が、また目につくようになった。これとて、わざと目について注目させる炎上商法のきらいがないわけではない。いくつかの例を見てみよう。