2ちゃんねる開設・ひろゆき<後編>ニコニコ動画の誕生秘話
「ニコニコ動画」の誕生秘話でジャーナリストの佐々木俊尚氏はこんなことを書いている。2ちゃんねるの実況版は当時はやっていたのだが、テレビ番組と2ちゃんの2画面を同時に見ないと面白くないというジレンマがあった。そこで技術者が社長の川上(量生)氏に呼ばれ、ドワンゴ内に動画にユーザーの文字が出る試作品が作られたのだ。まさに「ニコニコ動画」などでおなじみの、背景にユーザーたちの声(文字)が流れる画面の原型である。これを見たひろゆき氏が、「そのまま全公開にしたらいいじゃないですか?」と提案したというのである。
いくら自由なネット界といえども、どこの誰が書き込んだのか分からないものを動画で公開してよいものか? ひろゆき氏が説明する。
「ネットのサービスは不完全なままリリースして、その後少しずつ直していけばいい。そうするとユーザーも『オレが協力して直した』と思うから、さらに強固なファンがつく」
試作品でも不完全なまま発信あるいは発売し、いずれ完成版を目指す――あらゆるイノベーション(技術革新)がそうであるように、ニコニコ動画の誕生もそんな感じであった。
昨年、パリでの見本市へ渡仏するついでに氏を訪ねようとしたが、あいにくパリにおらず「またDVD送って下さい」とのメールが。この夏は自腹でひろゆき氏に会いに行ってみようか。