俳優・彫刻家マルチな顔を持つ片桐仁が語る“平成オタク史”

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平成最後の日本は1億総オタク化

 電気街の秋葉原がオタクの聖地となったのも、同じく平成7年の「Windows95」の発売以降。パソコンの普及で美少女ゲームがはやり、フィギュアと結び付いた結果です。そのうちメイド喫茶が現れ、オタクがマーケットの対象になっていった。CDやDVDが売れない時代に市場を支えているのも、オタク。アニメのブルーレイBOXはテレビドラマの何倍も売れています。

 声優さんも、かわいい子が増えた。今はアイドルよりも、声優になりたがるんですから。紅白に出た子もいる。客を持つ彼女たちは視聴率を稼げるから、NHKも無視できません。J―POPの第一線の方々もアニメに進出した。「進撃の巨人」の主題歌は、YOSHIKIプロデュースでHYDEが歌うほど。パチンコ台もアニメだらけ。今は漫画原作のドラマがウケるので、ドラマ化を前提に漫画の連載を始める。脱ぐのが決まっていたグラビア出身のAV嬢と同じかよって。

 宮崎駿さん、押井守さん、そして庵野さん。今や日本の実写映画の監督以上に、アニメ監督は世界中に認知されています。「クール・ジャパン」とか言って、国を挙げてオタク文化を推していますが、冗談じゃないですよね。散々オタクをバカにしていたクセに。

 振り返ると、あの冬の時代を耐えたからこそ、アニメ監督の作家性が磨かれたのかなあ。当時は映画「マトリックス」より何年も時代を先取りしていた作品もあった。原画を描くアニメーター、絵で芝居をつける作画監督、さらにそこに声を合わせる声優さんの技術を海外がマネするには、10年はかかると思います。

 平成最後の日本は1億総オタク化。皆、何かしらの知識の深掘りに喜びを感じている。ただ、消費の流れが速過ぎ、細分化した人同士で結び付きがち。その垣根を越える、すごい作品が出てきて欲しいと思います。

 いつのまにか僕はドラマに出る人になっちゃいましたけど、平成の次の時代にはスーパー戦隊シリーズの「基地にいる人」を演じたい。主人公たちを見守る博士役とかね。50代半ばになったら、やれるかなあ。

(構成=今泉恵孝/日刊ゲンダイ

▽かたぎり・じん 1973年11月、埼玉県出身。多摩美術大学卒業。現在は俳優・彫刻家としても活躍する。趣味はガンダム、ガンプラ、パトレイバー。

■公演情報 2019年2月14日(木)から東京グローブ座で「エレ片ライブ光光☆コントの人」を開催。イープラスにてチケット絶賛発売中

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