金属バットの“ヘラヘラ感”はブレークする芸人に共通する
背が高くて丸刈りの小林圭輔と、長髪で出っ歯の友保隼平はいずれも大阪の堺市出身。高校の同級生で、卒業後に意気投合してコンビを結成した。
彼らの漫才は、まるで日常会話のようなゆったりとしたテンポで進んでいく。話し方や言葉の選び方のクセが強く、とにかく柄が悪い。「漫才師は立ち仕事だからキツい。落語家は座って大昔に誰かが作ったネタをやるだけだから楽」と主張したりするなど、ネタの中身も独特で全く先の展開が読めない。
でも、そんな彼らの漫才には一度ハマるとやみつきになる面白さがある。休み時間に教室の片隅で、出来の悪い男子たちがとりとめもない会話をしているのを聞いているような感覚に陥る。
「スマートフォンデュ」(テレビ朝日)という深夜番組に出演した際には、友保がふざけてメーク担当者に「ギャル風にしてください」と頼んでいたため、なぜかパッチリした瞳のギャルメーク顔で漫才を披露していた。とにかく何から何までふざけているのである。
金属バットがこれから売れるかどうかは分からない。ただ、私の知る限り、のちに売れた芸人の多くは、間違いなく若手時代に「こういうタイプ」だったとは言える。金属バットの2人には、近いうちに快音を響かせてド派手なホームランを打ち上げてほしい。