窪田&柚希コンビの圧倒的存在感で魅了「唐版 風の又三郎」
凜とした立ち姿の柚希は少年と艶めかしいエリカを往還。深紅のドレスでの情熱的な歌とダンスは見事。
脇を固める俳優陣がまた豪華。織部たちが踏み迷う「死の世界」の奇怪な人物たち。教授(風間杜夫)、淫腐(金守珍)、珍腐(石井愃一)、乱腐(六平直政)。
石井は蜷川幸雄演出の常連で唐戯曲とは相性ピッタリ。金守珍の盟友で状況劇場出身の六平は、まるで水を得た魚のように破天荒なアングラ役者っぷりを発揮する。
風間と狂言回し役の山崎銀之丞はアングラ演劇と一線を画したつかこうへい門下であるが、初挑戦の「アングラ芝居」を喜々として演じ、特に風間の毒々しさ、パワフルさは圧巻。
「夜の男」役の北村有起哉の不気味なユーモア、スケバン役の江口のりこの歯切れのいいセリフとこぼれるような色香。
超豪華な宇野亞喜良の美術も特筆もの。巨大なカタツムリ、指さしマークなどのオブジェは寺山修司が好んで使ったもので、2人のアングラの巨人の魂が交差した舞台ともいえる。テント芝居に負けないスペクタクルとカタルシスを喚起する金演出を称えたい。3時間。3月3日まで。8~13日は大阪・森ノ宮ピロティホール。
★★★★