「ゼロ・ダーク・サーティ」女性分析官のビンラディン殺害
全157分のうち、前半の80分はビンラディン捜し、後半は彼の特定と殺害だ。特徴はマヤの私生活が一切描かれていないこと。ビグロー監督は彼女を復讐戦に没頭する仕事人間に仕立てた。マヤは最後まで薄幸な雰囲気でもがきながら孤軍奮闘する。昔の「キイハンター」ではないが、「恋も夢も望みも捨てて非情の掟に命を懸ける」のだ。作戦後の特殊部隊による資料回収や墜落ヘリの爆破も興味深い。攻撃シーンは派手さを抑えているためリアリティーが増した。
すべてが終わったとき、マヤはひとりになり涙を流す。涙で締めくくったことが女流監督による女のドラマであることを物語っている。
(森田健司/日刊ゲンダイ)