「おかげさまで1年間に平均500高座出させてもらってます」
「川崎大師には、我々が使っている毬に代表される道具に感謝し、古くなった物を供養するまり塚があって、毎年5月21日に『まり塚まつり』があります。当日は法要の後、奉納演芸としてやりますので、ぜひお出かけください」
いろんな年中行事があるが、仙三郎社中の主な仕事は寄席出演である。所属する落語協会には現在、4組の太神楽がいて、毎日どこかの寄席に入っている。
「おかげさまで、あたしなんぞは1年間に平均500高座も出させてもらってます。掛け持ちが多いのと、代演もありますから。これは先輩方が地道にやってきたことを寄席の席亭が評価してくださったからで、ありがたいことだと思ってます」
近年、東京の落語家が激増して600人を超えたというのに、東京の太神楽師が17人というのは少ないと思うのだが。
「確かに後継者がいなくて、あたしもずっと若手扱いでした。それは昔の太神楽師は落語家みたいに稼げなかったので、自分の子供たちに継がせなかった。稼げないとわかってるから弟子入り志願者もいない。寄席の色物として重宝されるようになってからは、なんとか食えるようになったわけです」