二つ目ユニット「成金」で勉強し直してさらに落語が好きに
私は小痴楽が二つ目時代にテレビで見たことがある。NHKの新人の演芸コンクールの中継で、「浮世床」を演じていた。歯切れの良い口調で、「威勢の良い若手」という印象は、若い頃の父親と重なった。
「2度本選に残ったのですが、受賞はできませんでした。実力不足ですね。2013年に落語芸術協会の二つ目が集まって結成した『成金』というユニットで勉強し直しました」
「成金」は桂伸三とただ今人気上昇中の講談師、神田松之丞が相談して、若手の会を結成したいと仲間を集めたユニットだ。
「2人から『兄さん、よかったら入ってくれませんか』と誘われて入りました。当時、末広亭で催していた二つ目勉強会の<深夜寄席>で、受けなくてもヘラヘラしてるようなやつは入れないで、ちゃんと受けようとするやつだけにしようと、11人が結集したわけです」
小痴楽は16歳で入門したため、一番年下だがリーダー格だった。
「始めたばかりの頃は客が入らなかったですね。40人のキャパのホールで毎週金曜日に開催してましたが、毎回15人から20人がいいところ。松之丞もまだ客を呼ぶ知名度がなかったし。ただ、僕にとってはありがたい会でした。以前、文治師匠から『君は落語が好きじゃない』と言われたことがありましたが、この会のおかげで、落語がさらに好きになったと言えます。前座のころは本当に好きじゃなかったんですね」