文化芸術へ支援なく…ミニシアター消滅危機で映画業界窮地
こうした窮状を助けたいと、俳優の柄本明、是枝裕和監督、白石和彌監督ら有志が立ち上がり、「ミニシアターを救え!」プロジェクトを始動させ署名を募っている。政府へ緊急支援を求めるべく作成した要望書では、こうした映画館をこう定義した。
《単なる娯楽施設ではなく、地域に多様な文化芸術体験を提供し、コミュニティの『文化権』を確保する重要な文化芸術拠点であり、美術館、劇場、音楽堂等の公立文化施設や劇団、楽団、美術家、音楽家等と同等に民主主義社会に欠くことのできない》と。スクリーンを見上げる喜びと感動を知っている中高年なら、大いにうなずくのではないか。
「公開しても地獄、中止・延期しても地獄」と、ある映画宣伝スタッフはこう言う。
「上映を延期していた作品をGW後に公開できたとしても、お客がすぐに戻ってくるとは限らない。アメリカでは映画館に行くライフスタイルが社会に戻るまで、半年かかるとの見通しを立てて芸術団体支援に約80億円を用意したのだとか。日本でも実際のところ、公開延期の作品はチラシにCM、試写会などに宣伝費はすでに使ってしまっていて、さらに新たな公開日を入れたチラシを刷ったりしなければならない。皆、頭を抱えています」