今後やりたいこと? 亡くなった女房ともう一度結婚したい
最後の思い出は、亡くなる直前に娘と3人でしたニューヨーク旅行だ。
「女房がニューヨークの画廊に、どうしても欲しい絵があると言うんです。抗がん剤が順調に効いているから行ってもいいと、主治医が許可してくれましてね。着いて5日間は元気だったんですが、帰る前日に倒れて、意識のないまま帰国。成田から病院に直行でした」
1週間後に永眠。家族全員で最期をみとった。ニューヨークで購入し、船便で送ったチャールズ・バーチフィールドという画家の作品は葬儀に間に合わず、届いたのは約2カ月後だった。
「なぜ彼女はこれを選んだのかなと不思議です。花園の真ん中から、すーっと白い雲のような線が空に向かって伸びている絵なんです。まるで魂が天に昇っていくようで、眺めていると切なくなりますね」
今後やりたいことは? と問いかけると、答えは「再婚ですね。もう一度、女房と結婚したい」だった。
(ジャーナリスト・松田亜希子)