徳重聡“残念なイケメン”から脱却「麒麟がくる」万感の演技
伝吾は「いつの日かお方さまがお戻りになられた時、何も変わらずこの郷はあります。それをまた見ていただくために、今日は旅に出てくださりませ」と牧を諭す。
万感の思いを込めたこのセリフを、徳重は何と笑顔で演じたのである。
「ただの笑顔ではなく、裏にある無念と悲しみが透けて見えるような……こんなに悲しい笑顔はない、という表情でした。そのため、伝吾の気持ちが痛いほど胸に響き、私も視聴者ももらい泣きしてしまったんだと思います。同時に、徳重さんって、こんなに繊細な演技をされる役者さんだったんだと改めて感じました」(山下真夏氏)
徳重は2000年8月に「オロナミンC『1億人の心をつかむ男』新人発掘オーディション~21世紀の石原裕次郎を探せ!~」で、応募総数5万2005人の中から見事グランプリを受賞。芸能界デビューを果たしたが、注目度が高すぎたことも災いしたのか、その後は個性を発揮することができず、これといった当たり役には恵まれなかった。
「ところが昨年のヒットドラマ『下町ロケット』で見事に化けた。ひと癖あるエンジニアを怪演し、これまでの端正なイケメンの面影もないほどの変わりようを見せたことから、視聴者の注目の的に。今回の伝吾役でも鮮烈な印象を残したことで、演技派へ名乗りを上げたといえます。今後、オファーは引きもきらないでしょう」(芸能プロ関係者)
鳴り物入りのデビューから20年。187センチの長身で、「残念なイケメン」なんて声もあったが、徳重は“石原裕次郎”とは違って、どうやら大器晩成型。当初のキャッチフレーズ通り、1億人の心をガッチリと掴める役者になってほしい。